アンクルボムというバンドにサポートとして加入したと思っていたら、解散した。

 リーダーのN氏が気を病んだ、というより今はあまり病んではおらずどちらかというと 「低い」 ところですっかり落ち着いている。「実家に逃げ帰る」 のだそうだ。とりあえずは勉強して司法書士だか何だかの資格を取り就職し、「金持ちの嫌らしい大人になってこれ見よがしに高級車を乗り回しでかい家にでかい犬と暮らす」 のだと。おそらくはそう遠からぬうちに、かなり近いレベルまで実現してのけるはずだ。でかい犬、に関しては、犬好きだったというのは初耳だったし適当なことを言ったのかもしれないが。

 ヤンキー上がりで信じられないほど頭が切れ行動力に富み暴力的に見せかけようとしてはいるが繊細で酔狂を好み人を好み概ねいつも涼しい顔をしていることが出来る、という風に俺の目には映っていた彼が俺のざっと倍の時間バンドマンとして生きている間にどれだけの苦労をしどれだけ悩み落ち込み迷ったのだか、想像も付かないのだけれど結果としてそういう事になった。本人が元々優れている上に必要以上に冷えた頭で考えてそういう結論に付いたのならもう何も言えるわけもなく、家財道具を処分しに行くのに付いていく。ついでにようやく、邪魔者以外の何者でもなかったうちのテレビも処分する。助かった。冷蔵庫まで処分していたのだから、来週中に引っ越す、と言っていたのはやはり本気なのか、と憂鬱になる。

 その後飯を食い (おごってもらった)、色々な、本当に色々な話を聞きながら、適当に車を走らせる。神社に行き、宮本武蔵の墓に行き、エロ本屋に行った後、家まで送ってもらい、別れた。

 実は結構、ほんとうにこれで終わり? という気がしている。まあ終わるんだろうなあ。ああもうどうでもいいクソが。